2021年04月16日

映画『浮雲』@神保町シアター

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神保町シアターで森雅之生誕110年を記念し出演映画を上映していることは、前に書いた。
森雅之という俳優の芸域の広さを感じさせるプログラムの豊かさ。名作が並ぶ。
いままで、すで七作品を鑑賞したが、なかでも、4月15日に観た『浮雲』が秀逸。主演の森雅之、高峰秀子も素晴らしいが、成瀬巳喜男の演出が見事であった。音楽もいい。仏印から日本に帰ってきた男女のもつれるような愛憎、そして仏印という戦時中の外地の風景を音で感じさせる斎藤一郎の音楽のセンスは抜群。すべてに秀でて、2時間4分という長さを感じさせなかった。林芙美子原作。1955年東宝。

続けて観た1964年日活の『帰郷』は、大佛次郎原作『帰郷』の二度目の映画化。1950年松竹で映画化された作品が名作だっただけに、今作は、原作を大きく変えた脚本に無理があった。
主軸を娘(吉永小百合)に据えて描き方に工夫を凝らそうとしたのだろうが、成功しているとはいいがたい。
森雅之、高峰三枝子、吉永小百合、高橋英樹、渡辺美佐子ほかの出演。
(ちなみに、1950年の『帰郷』は木暮実千代の代表作。佐分利信、山村聰、津島恵子、三宅邦子、柳永二郎ほか、脇役陣に至るまで、大佛次郎の傑作を映像に写し取って出色の出来栄えであった。)

最後に観たのは、『楊貴妃』。1955大映。溝口健二監督作品。森雅之、京マチ子。昔の中国を描いているため、さまざまな考証が大変だったろう。美術監督が水谷浩。溝口作品では、『雪夫人絵図』での美術の見事さが忘れられない。この『楊貴妃』でも、美術に苦心のあとが見えた。
大作といっていいが、中国を舞台にしていることの難しさも感じさせられた。

一日で三作品を観たことになる。さすがに疲れたが、『浮雲』をたっぷり堪能できたことが何よりの収穫であった。
『浮雲』は超お勧めだが、4月16日(金)14時15分の一回を残すのみである。
(写真は、神保町シアターパンフレットより)

posted by mayako at 01:40| 東京 ☀| Comment(0) | 映画関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする